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岐阜地方裁判所 昭和57年(わ)91号 判決 1982年5月10日

本籍及び住居

岐阜県安八郡神戸町大字末守五四九番地の一

法衣製造販売業

近藤敏人こと

近藤利

大正七年五月一三日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官渡辺恵一出席のうえ、審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役六月及び罰金五〇〇万円に処する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

右罰金を完納することができないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、昭和五六年一月二二日以前は岐阜県大垣市高橋町四丁目二七番地において、翌二三日以降は、同県安八郡神戸町大字末守五四九番地の一において、法衣製造販売業を営んでいるものであるが、売上の一部を除外し、これによって得た資金を簿外株式の取得等に充てるなどの方法により、自己の所得税を免れようと企て、

第一  昭和五三年分の実際所得金額が一八、五八九、七四八円でこれに対する所得税額が五、九一八、九〇〇円であるのに、右実際所得金額の全額を秘匿したうえ、同五四年三月一五日、大垣市丸の内二丁目三〇番地所在の大垣税務署において、同税務署長に対し、所得金額が九四七、二〇二円の損失でこれに対する所得税額が零円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、前記正当税額五、九一八、九〇〇円の所得税を免れ、

第二  同五四年分の実際所得金額が二二、九五八、三三一円でこれに対する所得税額が八、一〇〇、三〇〇円であるのに、右実際所得金額の全額を秘匿したうえ、同五五年三月一三日、前記大垣税務署において、同税務署長に対し、所得金額が零円でこれに対する所得税額が零円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、前記正当税額八、一〇〇、三〇〇円の所得税を免れ、

第三  同五五年分の実際所得金額が一八、一五八、七四四円でこれに対する所得税額が五、七二三、二〇〇円であるのに、右実際所得金額中一六、八八一、四八六円を秘匿したうえ、同五六年三月一六日、前記大垣税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、二七七、二五八円でこれに対する所得税額が九六、六〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、前記正当税額との差額五、六二六、六〇〇円の所得税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全般の事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人作成の上申書

一  被告人作成の所得税の青色申告承認申請書兼所得税のたな卸資産評価方法減価償却資産の償却方法の届出書謄本

一  大蔵事務官作成の査察官調査書一三通

判示第一の事実について

一  大蔵事務官戸崎善一作成の昭和五七年一月二二日付証明書二通(ただし記録証第二二一号と同第二二五号の分)

判示第二の事実について

一  右大蔵事務官作成の同日付証明書二通(ただし記録証第二二二号と同第二二六号の分)

判示第三の事実について

一  右大蔵事務官作成の同日付証明書二通(ただし記録証二二四号と同第二二八号の分)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、いずれも昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税法二三八条一項に該当するところ、懲役刑と罰金刑を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により判示各罪の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役六月及び罰金五〇〇万円に処し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとし、右の罰金を完納することができないときは、同法一八条により金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、訴訟費用は刑訴法一八一条一項本文により、全部これを被告人に負担させることとする。

以上の理由により、主文のとおり判決する。

(裁判官 小島裕史)

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